前宮は古来より諏訪明神の住まう所とみられ、また御神体と同視し神殿(ごうどの)と尊称しました。かつて現人神と崇められた諏方大祝の居舘があり、直臣の屋敷が建ち並んでいた。また大祝が住まう地として神原(ごうはら)と呼び敬った。諏訪明神の重要な祭祀・神事を取り行った聖地です。上社最大の祭り、御頭祭も前宮十間廊で行われ、毎年4月15日の「酉の祭(大御立座神事・おおみたてまししんじ)」には狩獲った鹿の頭75が供えられ、大祝職位式もここで行われました。本宮祭祀以前から祭祀が営まれた場所として、前宮と称されました。 諏訪祭政が行われる政庁の場で、すべての貢ぎ物はこの廊上で大祝の実見に供されました。上段に大祝の座、次に家老・奉行・五官の座があり、下座に御頭郷役人(おとうごうやくにん)の座なども定められ、左手の「高神子屋」で演ぜられる舞を見ながら宴をはったといわれています。 長さが10間(柱間1.8m×10)あるので「十間廊」と呼ばれています。通常「じゅっけんろう」と言われますが、正式には「じつけんろう」だそうです。古くは「神原廊(ごうばらろう)」とも呼ばれ、『諏方大明神画詞』にも表記されています。 前宮の社殿下に前宮古墳があると伝承されています。諏訪明神の建御名方神(たけみなかたのかみ)の妻、八坂刀売神(やさかとめのかみ)の墓と言われています。
(2012.5.17[Thu])
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